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こちらの記事では、M&Aを行う場合に弁護士が必要な理由について解説しています。M&Aと一口に言っても、株式譲渡に限らず、事業譲渡・事業承継・会社分割など、多様なスキームが存在します。このようなスキームの知見を持つ弁護士を選択することが大切です。以下のページでは、事業承継における顧問弁護士の選び方について解説しています。
M&Aにおいては、リスク管理の面から、弁護士が必要となります。その理由を下記にて解説していきます。
仲介会社の場合、売り手と買い手の双方から手数料を得る「両手取引」が一般的です。そのため、どうしても成約を優先しやすく、利益相反が起こりやすい状況になりがちです。弁護士の場合には、法律により「双方代理」が禁止されていることから、自社の100%味方として利益相反を回避して自社の利益を守るためのサポートを行っていきます。
「M&Aなら税理士に任せればいいのでは?」と考える経営者の方は少なくありませんが、税理士と弁護士は、専門領域は明確に異なります。
税理士・会計士が担う領域は、主に「数字(バリュエーション)」と「税金(節税)」。対して弁護士が担う領域はは「契約(権利と義務の設計)」と「紛争防止」になります。
ここで押さえておきたい重要な視点が、仮に数字の計算が合っていたとしても、契約書の1行で将来の利益が吹き飛ぶリスクがあるということです。たとえば、買い手への支配権移転を理由に主要取引先が契約を解除できる条項が見過ごされていれば、譲渡後に事業価値が大きく損なわれるおそれがあります。このような契約上のリスクは、数字の専門家だけでは検知できません。
対象となる企業が抱えている潜在的な法的リスクを洗い出すことを、「法的デューデリジェンス」といいます。その内容としては、例えば未払い残業代や契約の不備、許認可違反、知的財産権の侵害といったものが考えられます。弁護士が専門的な調査により、後々に巨額の損害賠償や事業停止といった状況を引き起こす可能性がある「隠れた爆弾」を事前に洗い出すことで、買取価格の減額交渉、リスク回避策について検討することができます。
M&Aにおける最終契約書では、開示情報が正確であることを約束する「表明保証」と、この保証に違反して損害が発生した場合の「補償条項」を設計することが重要なポイントです。弁護士は、法的デューデリジェンスにより明らかになったリスクを踏まえ、売り手の場合には責任範囲の限定を行いますし、買い手の場合には損害を回収するための緻密な文言調整を行うことによって、できるだけ自社に有利な内容に導きます。
中小企業の経営者の多くは、会社の借入に対して個人保証を負っています。そのため、たとえM&Aによって株式を譲渡したとしても、保証解除の手続きが契約書に明記されていなければ、譲渡後も旧経営者が連帯保証人であり続けるリスクが残ってしまいます。
買手企業としては、旧経営者からの「求償権」を行使され、実質的な二重払いになるなど、思わぬトラブルに発展するリスクがあります。
こうした事態を防ぐため、弁護士には、クロージングの際に金融機関も交えた保証解除の交渉を主導し、かつ具体的な手続きを株式譲渡契約書に明記させる役割が求められます。
実務においては保証解除の期限と手順を契約上に落とし込めるかどうかが極めて重要です。この交渉を確実に遂行できる弁護士の選任が、引退後の安心感を左右することになるでしょう。
ここでは、もしM&Aに不慣れな弁護士に任せた場合にはどのようなリスクが考えられるのか、という点について解説していきます。
不慣れな弁護士に任せた場合には、簿外債務、未払い残業代、知財権や許認可の不備といったように、M&A特有のチェックリストをもとにした専門的な調査を行えない、というリスクが考えられます。デューデリジェンスが漏れてしまった場合には、重大な問題を抱えたまま買収を行うことになるため、後日損害賠償を請求される、事業の継続が困難になるといった致命的な損失につながる可能性があります。
契約書において、譲渡企業の情報の正確性を補償する「表明保証」や、問題が発覚した際の「補償範囲」の設計ミスが発生してしまい、自社にとって著しく不利な情報を飲まざるを得ないという状況になる可能性が考えられます。
この場合、自社にとって不必要な責任を負わされたち、逆に損害を受けたとしても1円も回収ができないといった、契約上の縛りが発生してしまいます。
「M&Aは水もの」と言われるように、相手型の熱量が高いうちに合意を積み重ねることが必要です。しかし、不慣れな弁護士の場合、法律論にこだわりすぎてレスポンスが滞りがちになります。こうなると、相手が他の企業から「意思決定が遅い」と不信感を持たれてしまうために交渉が決裂する、他社に案件をさらわれるといった状況に陥ります。
仲介会社は契約成立を優先する立場にあるため、中立性が保たれにくいケースが多く見られます。法的リスクを軽視した対応があったとしても、不慣れな弁護士の場合は仲介側の意見に反論しづらい状況が生まれがちです。
この場合、経営者の利益を100%守るという「防波堤」として機能することができず、不適切な契約条件を受け入れることになり、企業が条件面で損をするといったことにつながります。
契約を締結した後の「従業員の待遇統合」や「集合規則の整理」といった実務的な統合リスクを考慮することができずに、契約書の文言調整のみに終始ししてしまうことになります。その結果、買収後にキーマンが離職する、組織文化が衝突してしまうことによって、シナジー効果を得ることが難しくなってしまいます。
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ご自身の状況に照らして、冷静に判断するヒントが得られるはずです。
ここでは、顧問弁護士の変更を検討するべきポイントを紹介していきます。下記のポイントに当てはまった場合には注意が必要です。
M&Aは、高度な専門知識が求められる領域です。そのため、過去のM&A実務の実績数が少なく、労務や知財など、それぞれの分野を担当する専門チームを持たない弁護士においては、複雑なデューデリジェンスにおいて重要な部分を見落としてしまうリスクが高くなります。
M&Aの法務を円滑に進めるためには、画一的な法律知識だけで十分とはいえません。なぜなら、業種によって直面する法的リスクが根本的に異なるからです。
たとえばIT業界であれば、ソフトウェアの著作権がどこに帰属しているかという曖昧な点の解消や、エンジニアに対する競業避止義務の有効性などが争点となります。あるいは製造業の場合は、工場敷地の土壌汚染リスクの有無や、製造物責任(PL法)上の義務が買い手へ適切に承継されるかどうか、というテーマが焦点となるでしょう。また、医療や建設業においては、許認可が個人に紐づいているか法人に紐づいているかによって、譲渡後に許認可の再取得が必要になるケースもあります。
このように、業種ごとに留意すべきポイントが異なるため、弁護士を選ぶ際は「ご自身の業界の商習慣や規制環境を理解しているか?」という視点で確認することが大切です。
前述の通り、M&Aはスピードが大切です。もし法律論に固執しすぎて進行を妨げる、レスポンスがおそい弁護士は、ディールブレイクの原因となり得ます。ビジネスの速度に伴走できない、ついてこれない場合には顧問弁護士の変更を検討するタイミングであるといえます。
M&A弁護士への報酬体系は、主に3つの形式で構成されています。1つ目が「リテイナー(定額)」で、交渉期間中の毎月の相談や助言に対する費用。2つ目が「タイムチャージ」で、DD(デューデリジェンス)や契約書作成などの実作業に対する費用。3つ目がM&A成立に対する弁護士への「成功報酬」で、最終的な取引額に一定の料率を乗じて算出されます。
ここで注意したい点が、費用の安さだけを基準に弁護士を選ばないことです。本来、報酬体系と調査の深度は密接に連動しているため、もし費用の安さのみで弁護士を選んだ場合、その弁護士はDDの調査範囲を絞り込んでしまい、結果的に重大なリスクを見逃すおそれがある点に注意しましょう。
弁護士と契約を締結する際には、各費用の内訳や上限、DDの範囲などをしっかりと確認しておくようにしましょう。
なお、顧問弁護士としてM&Aをサポートしてもらうメリットや選び方の詳細については、以下のページもあわせてご覧ください。
賢誠総合法律事務所は、M&Aや企業再編、企業提携においても対応が可能です。企業や事業の買収・売却、合併・会社分割・株式交換・株式移転等の企業組織再編、資本提携・業務提携・ジョイントベンチャーなどの企業提携において、豊富な経験を有している法律事務所です。M&Aにおいては、スキームの作成から法務デューデリジェンス、契約書の作成や交渉、クロージングに関するサポートを提供しています。
また当事務所はいつでも電話やメールで相談が可能であり、予約も不要となっています。また、複数人での体制で取り組んでいくことから連絡もスムーズに行えます。お客様との信頼関係を大切にしており、気軽に相談ができる体制が整えられています。M&Aなどにおいて解決したい問題等がある場合には、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
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