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弁護士変更の引き継ぎ方法

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この記事でわかること

  • 弁護士変更は依頼者の法的権利であり、適切な準備があればスムーズに交代可能であること
  • 着手金の二重払いや解決期間の延長といった、変更に伴う現実的なリスクと対策
  • 新しい弁護士の確保から解任通知、資料回収までを網羅した「失敗しない5ステップ」
  • 原本や裁判資料など、旧弁護士から必ず回収すべき「重要書類リスト」の全容
  • 角を立てずに契約を解除するための具体的な断り方・メール例文とトラブル時の対処法

弁護士を変更(交代)する際
引き継ぎはスムーズにできる?

結論:可能。ただし「事前の準備」が成功の鍵

弁護士との委任契約は相互の「信頼関係」に基づくものであり、民法上、依頼者はいつでも理由を問わず契約を解除し、別の弁護士に変更できる法的権利を持っています。ただし、感情的に即座に解任を伝えてしまうと、資料の回収が滞ったり、新しい受任先が見つからず「弁護士不在」の空白期間が生じたりするリスクがあります。

引継ぎのリスクは「資料の返還」と「費用の二重払い」

弁護士を交代する際、多くの方が「預けている証拠の原本や、これまでの裁判資料が手元にしっかり戻ってくるのか」という不安を抱かれます。実際、関係が悪化した状態での解任は資料回収の難易度を高めることがあります。また、最大の現実的なリスクは金銭面です。旧弁護士に支払った着手金は原則として返還されず、新しい弁護士への着手金が別途発生するため、コストが二重にかかる点はあらかじめ覚悟し、検討する必要があります。

失敗しない弁護士変更・引き継ぎの「5ステップ」

ステップ1:現在の弁護士への不満を整理し、変更を決断する

まずは「なぜ変更したいのか」を冷静に整理しましょう。「レスポンスが遅く状況がわからない」「説明が専門用語ばかりで不明瞭」「提示された和解案に納得がいかない」など、理由を明確にすることで、次の弁護士選びの基準が定まります。

いきなり解約する前に、まずは不満点を伝えて改善の余地がないか試みたり、セカンドオピニオンを受けて現在の弁護士の方針が客観的に妥当かを確認したりするプロセスを挟むことで、後悔のない決断ができます。

ステップ2:新しい弁護士を探し、あらかじめ「受任可能か」確認する

特に裁判が進行中の場合、今の弁護士を解任した後に「誰も引き受けてくれない」という事態は絶対に避けなければなりません。解任を伝える前に、必ず新しい弁護士の無料相談などを受け、これまでの経緯を説明した上で「受任の内諾」を得ておきましょう

その際、前の弁護士で感じた不満(連絡の頻度や方針の立て方など)を率直に話し、それを解消できる相性の良い相手かどうかを慎重に見極めることが、同じ失敗を繰り返さないコツです。

ステップ3:現在の弁護士へ「解任(委任契約の解除)」を通知する

新しい弁護士が決まったら、現在の弁護士へ契約解除を通知します。言った・言わないのトラブルを防ぐため、電話だけでなくメールや、より確実な方法として「配達証明付き内容証明郵便」など、記録が残る形で意思表示を行うのが実務上の定石です。

これは弁護士側から職務を辞める「辞任」ではなく、依頼者側の権利として契約を終わらせる「解任(中途解約)」の手続きであることを理解しておきましょう。

ステップ4:預け資料・証拠・預かり金の清算と返還を受ける

解任通知と同時に、預けている資料の返還と費用の精算を求めます。支払済みの着手金のうち、まだ着手していない事務がある場合や、印紙代などの実費の残金がある場合は返還を請求できます。以下のリストを参考に、漏れなく回収しましょう。

  • 裁判・手続資料:訴状、答弁書、準備書面、証拠説明書、証拠資料(写し)、裁判所からの呼出状や決定書など。これらはこれまでの主張の集大成です。
  • 証拠原本:契約書、領収書、借用書等の「原本」は、裁判に勝つための生命線です。必ず回収が必要です。写真や録音データが入ったUSB等も同様です。
  • 記録・経過:期日報告書(これまでの裁判の進捗記録)や、相手方弁護士との交渉メール・書面のやり取り記録。
  • 費用・清算:預かり金精算書、弁護士費用の領収書。また、解約時の清算ルールを再確認するために委任契約書の控えも手元に揃えましょう。

ステップ5:新しい弁護士へ資料を引き継ぎ、委任契約を結ぶ

旧弁護士から回収した一式を速やかに新しい弁護士に渡します。新しい弁護士がこれまでの経過を読み込む時間を考慮し、事件の「空白期間」を最小限に抑えるのがポイントです。資料が揃った段階で改めて委任状を作成し、新しい弁護士と正式に委任契約を締結します。ここからは新しい方針に基づき、心機一転して事件解決へと進みます。

【例文あり】角を立てずに弁護士を変更する
「断り方」のコツ

感情的にならず「方針の不一致」を理由にするのが鉄則

弁護士も人間ですので、能力不足を厳しく責め立てると、資料返還などの事務手続きが心理的に停滞する恐れがあります。「方針の不一致」や「親族・知人から別の専門家を紹介された」「別のアプローチ(より和解重視、あるいはより徹底抗戦など)で進めたい」といった、事務的かつ決定事項としての理由を添えるのが円満な引き継ぎのコツです。

メール・電話・書面で使える断り方の文面サンプル

「これまで熱心にご対応いただき感謝申し上げます。本件の今後の進め方について慎重に検討いたしました結果、誠に勝手ながら、別の方針により手続きを進めることといたしました。つきましては、本日付で本件の委任契約を解除させていただきます。お預かりしている証拠原本および裁判資料一式のご返還と、預かり金の精算をお願いしたく、お手続きのほどよろしくお願い申し上げます。」というような形で、丁寧に連絡するとよいでしょう。

引き継ぎで注意すべき「費用」と「デメリット」

着手金の二重払い

弁護士が一度事件に着手した場合、その後の解任であっても着手金は返還されないのが一般的な業界慣習です。これが「二重払い」という厳しい現実を招きます。ただし、契約直後で事務がほとんど進んでいない(訴状も書いていない等)場合に限り、作業の進捗割合に応じて一部返金の交渉が可能なケースもあります。

事件解決までの期間が延びるリスク

新しい弁護士は、過去の膨大な記録を一から読み解き、事件の全体像を把握しなければなりません。この「キャッチアップ期間」が必要なため、解決までのリードタイムが数週間〜数ヶ月延びるリスクがあることを考慮しておきましょう。

裁判途中の変更が「不利」に働かないための注意点

弁護士が変わること自体で裁判の勝敗が決まることはありません。しかし、弁護士交代を機にこれまでの主張内容を180度変えてしまうと、裁判官に「不自然な主張」と捉えられる危険があります。新旧の主張に一貫性を持たせつつ、より強化された構成にアップデートすることが重要です。

もし前の弁護士が資料返還や清算に応じない場合は?

弁護士会への紛争解決申し立ての検討

万が一、前の弁護士が正当な理由なく資料を返さなかったり、預り金の清算に応じなかったりする場合は、その弁護士が所属する地域の「弁護士会」に相談してください。「市民窓口」や「紛争解決センター(紛議調停)」といった制度があり、第三者の立場からトラブル解決を促してもらうことができます。

新しい弁護士を通じて交渉してもらうのが最短ルート

自分一人で前の弁護士と交渉するのが精神的に辛い、あるいは話が進まないという場合は、新しい弁護士に「資料の引き継ぎ連絡」を代行してもらうのが最も確実です。弁護士同士であれば「預り資料の返還義務」といったルールが共通認識としてあるため、角を立てずスムーズに回収できることがほとんどです。

納得のいく解決のために、早めの決断を

弁護士変更には、費用の二重払いや期間の延長といったデメリットが確かに存在します。しかし、担当弁護士への不信感を抱いたまま重大な決断を委ね続けるリスクは、それ以上に大きいものです。納得のいかない結果を招いてから後悔するよりも、本記事のステップを参考に、戦略的かつ前向きな変更を検討することをお勧めします。

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