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弁護士との委任契約は相互の「信頼関係」に基づくものであり、民法上、依頼者はいつでも理由を問わず契約を解除し、別の弁護士に変更できる法的権利を持っています。ただし、感情的に即座に解任を伝えてしまうと、資料の回収が滞ったり、新しい受任先が見つからず「弁護士不在」の空白期間が生じたりするリスクがあります。
弁護士を交代する際、多くの方が「預けている証拠の原本や、これまでの裁判資料が手元にしっかり戻ってくるのか」という不安を抱かれます。実際、関係が悪化した状態での解任は資料回収の難易度を高めることがあります。また、最大の現実的なリスクは金銭面です。旧弁護士に支払った着手金は原則として返還されず、新しい弁護士への着手金が別途発生するため、コストが二重にかかる点はあらかじめ覚悟し、検討する必要があります。
まずは「なぜ変更したいのか」を冷静に整理しましょう。「レスポンスが遅く状況がわからない」「説明が専門用語ばかりで不明瞭」「提示された和解案に納得がいかない」など、理由を明確にすることで、次の弁護士選びの基準が定まります。
いきなり解約する前に、まずは不満点を伝えて改善の余地がないか試みたり、セカンドオピニオンを受けて現在の弁護士の方針が客観的に妥当かを確認したりするプロセスを挟むことで、後悔のない決断ができます。
特に裁判が進行中の場合、今の弁護士を解任した後に「誰も引き受けてくれない」という事態は絶対に避けなければなりません。解任を伝える前に、必ず新しい弁護士の無料相談などを受け、これまでの経緯を説明した上で「受任の内諾」を得ておきましょう。
その際、前の弁護士で感じた不満(連絡の頻度や方針の立て方など)を率直に話し、それを解消できる相性の良い相手かどうかを慎重に見極めることが、同じ失敗を繰り返さないコツです。
新しい弁護士が決まったら、現在の弁護士へ契約解除を通知します。言った・言わないのトラブルを防ぐため、電話だけでなくメールや、より確実な方法として「配達証明付き内容証明郵便」など、記録が残る形で意思表示を行うのが実務上の定石です。
これは弁護士側から職務を辞める「辞任」ではなく、依頼者側の権利として契約を終わらせる「解任(中途解約)」の手続きであることを理解しておきましょう。
解任通知と同時に、預けている資料の返還と費用の精算を求めます。支払済みの着手金のうち、まだ着手していない事務がある場合や、印紙代などの実費の残金がある場合は返還を請求できます。以下のリストを参考に、漏れなく回収しましょう。
旧弁護士から回収した一式を速やかに新しい弁護士に渡します。新しい弁護士がこれまでの経過を読み込む時間を考慮し、事件の「空白期間」を最小限に抑えるのがポイントです。資料が揃った段階で改めて委任状を作成し、新しい弁護士と正式に委任契約を締結します。ここからは新しい方針に基づき、心機一転して事件解決へと進みます。
弁護士も人間ですので、能力不足を厳しく責め立てると、資料返還などの事務手続きが心理的に停滞する恐れがあります。「方針の不一致」や「親族・知人から別の専門家を紹介された」「別のアプローチ(より和解重視、あるいはより徹底抗戦など)で進めたい」といった、事務的かつ決定事項としての理由を添えるのが円満な引き継ぎのコツです。
「これまで熱心にご対応いただき感謝申し上げます。本件の今後の進め方について慎重に検討いたしました結果、誠に勝手ながら、別の方針により手続きを進めることといたしました。つきましては、本日付で本件の委任契約を解除させていただきます。お預かりしている証拠原本および裁判資料一式のご返還と、預かり金の精算をお願いしたく、お手続きのほどよろしくお願い申し上げます。」というような形で、丁寧に連絡するとよいでしょう。
弁護士が一度事件に着手した場合、その後の解任であっても着手金は返還されないのが一般的な業界慣習です。これが「二重払い」という厳しい現実を招きます。ただし、契約直後で事務がほとんど進んでいない(訴状も書いていない等)場合に限り、作業の進捗割合に応じて一部返金の交渉が可能なケースもあります。
新しい弁護士は、過去の膨大な記録を一から読み解き、事件の全体像を把握しなければなりません。この「キャッチアップ期間」が必要なため、解決までのリードタイムが数週間〜数ヶ月延びるリスクがあることを考慮しておきましょう。
弁護士が変わること自体で裁判の勝敗が決まることはありません。しかし、弁護士交代を機にこれまでの主張内容を180度変えてしまうと、裁判官に「不自然な主張」と捉えられる危険があります。新旧の主張に一貫性を持たせつつ、より強化された構成にアップデートすることが重要です。
万が一、前の弁護士が正当な理由なく資料を返さなかったり、預り金の清算に応じなかったりする場合は、その弁護士が所属する地域の「弁護士会」に相談してください。「市民窓口」や「紛争解決センター(紛議調停)」といった制度があり、第三者の立場からトラブル解決を促してもらうことができます。
自分一人で前の弁護士と交渉するのが精神的に辛い、あるいは話が進まないという場合は、新しい弁護士に「資料の引き継ぎ連絡」を代行してもらうのが最も確実です。弁護士同士であれば「預り資料の返還義務」といったルールが共通認識としてあるため、角を立てずスムーズに回収できることがほとんどです。
弁護士変更には、費用の二重払いや期間の延長といったデメリットが確かに存在します。しかし、担当弁護士への不信感を抱いたまま重大な決断を委ね続けるリスクは、それ以上に大きいものです。納得のいかない結果を招いてから後悔するよりも、本記事のステップを参考に、戦略的かつ前向きな変更を検討することをお勧めします。

弁護士の交代は、現状の課題を解消し、組織を再始動させるための戦略的な転換です。
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